知らないと危ない!ドライバーが意外と知らない「追突防止」の常識

交通ルール・安全運転

ある日の朝、高速道路を走っていると、前方の車がハザードランプを点滅させながらスピードを落とし始めた。渋滞の始まりだ。後続車に危険を知らせるために、自分もすぐにハザードを点ける。そんな当たり前の行動が、実は「知っている人」と「知らない人」に分かれている。

「自分は大丈夫」と思っているドライバーほど、意外な知識の抜け穴がある。今回は、事故を防ぐために本当に知っておいてほしい「追突防止の常識」をお伝えする。

渋滞の最後尾でハザードを点けない車がいる理由

高速道路で渋滞の最後尾についたとき、ハザードランプを点けてから止まるのは、今や多くのドライバーに浸透したマナーだ。後続車に「ここから先は止まっているぞ」と知らせる、命を守る行動だ。

ところが、ハザードを点けない車も一定数存在する。

なぜか。理由はシンプルで「義務ではないから」だ。

実は、道路交通法によると、ハザードランプの点灯が義務付けられているのは「夜間に幅5.5m以上の道路で駐停車する時」と「通学・通園バスが園児や児童の乗降のために停車する時」の主に2つだけ。渋滞の最後尾でのハザードランプ点灯は、もともとトラック運転手など職業ドライバーの間で広まっていった慣習とされている。

法律で決まっていないから点けない、という判断をするドライバーが一定数いても、法的には問題がない。

しかし、だからといって点けなくていい理由にはならない。

高速道路交通警察隊も渋滞最後尾でのハザード点灯を推奨しており、後続車が離れており自分の車が最後尾の際はハザードランプを点滅させることが望ましいとされている。

法律の義務か否かではなく、「自分の行動が後続車の命を守るかどうか」で判断してほしい。

トンネルでライトを点けない車の「勘違い」

もう一つ、見かけるたびにヒヤリとする光景がある。トンネル内でヘッドライトを点けずに走る車だ。

「トンネルの中は照明があるから見える」という理屈なのだろうが、これは大きな勘違いだ。ライトは「自分が前を見るため」だけにあるのではない。

ライトは「相手に自分の存在を知らせるため」にある。

夕暮れ時やトンネル内で無灯火のまま走っている自分の車に後続車が気づかず追突してくるのを避けるには、テールランプを点灯しておくのが正解だ。

つまり、ヘッドライトをONにすることで、リアのテールランプも同時に点灯する。後ろから来る車に「ここに車がいる」と知らせることができるのだ。

JAFの専門家も「ヘッドライトの位置は保安基準で厳格に定められているが、これは自分が前方を見やすいだけでなく、他車からの被視認性も考慮してのこと。ヘッドライトを点ければ他車からもよく見えるので、それだけ安全性が高まる」と指摘している。

かっこいいと思っているのかトンネル内でライトをつけない人は、自分の安全だけでなく、周囲の人の安全も脅かしているということを知ってほしい。

法律面でも確認しておくと、トンネル内や濃霧の際に視界が高速道路では200m以下、その他の道路においては50m以下の場合は、夜間以外の時間であっても前照灯・車幅灯・尾灯の点灯が義務付けられており、違反した場合は反則金だけでなく減点対象にもなる。

「見られること」を意識した運転が事故を防ぐ

ここまでの話に共通するテーマがある。

それは「被視認性」、つまり「相手から見えているかどうか」という意識だ。

多くのドライバーは「自分が見えているかどうか」を基準に運転している。しかし安全運転の本質は「相手から自分が見えているかどうか」にある。

この視点を持つだけで、次のような行動が自然とできるようになる。

  • 渋滞の最後尾についたら即座にハザードを点ける
  • トンネルに入る前にライトをONにする(オートライトの場合は設定を確認)
  • 夕暮れ時は暗くなる前に早めにライトを点ける
  • 雨の日は昼間でもライトを点ける

これらはどれも難しい技術ではない。「知っているかどうか」の差だけだ。

最後に:知識が命を守る

一日の中で夕暮れ時が最も死亡事故の起こりやすい時間帯であり、2019年から2023年の5年間における時間帯別の死亡事故発生件数を見ると、日の入り時刻と重なる17時台から19時台にかけて死亡事故が多く発生している。

これは偶然ではない。薄暗い時間帯に「見えているつもり」で運転するドライバーが多いからだ。

渋滞のハザード、トンネルのライト。どちらも「義務か否か」ではなく「相手に自分を知らせているか」という発想の転換が必要だ。

一つの知識が、一つの追突事故を防ぐかもしれない。そしてその追突事故の被害者は、見知らぬ誰かではなく、大切な家族かもしれないのだ。

今日から、「見える運転」から「見られる運転」へ意識を変えてみてほしい。


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